いいねとコメントで、Instagramのトップ投稿は変わる?
いいねが最も多い投稿が、コメントも最多とは限りません。選定された2つのInstagram投稿データから、単独トップが異なる場合、同率の場合、記録値が0の場合を分けて、レポートで何が言えるかを考えます。
2020年4月15日〜5月15日に収集され、Tyler Horanが2021年に公開した、選定済みの2つのInstagram投稿データ群を分析しました。
要旨
同じInstagramアカウントでも、いいねとコメントでトップになる投稿が異なることがあります。Influence IQが2020年に収集された2つの選定データ群を分析したところ、両指標で同じ1件が単独トップになったのは、#sponsoredを起点に集めたデータでは対象3,966アカウント中1,903アカウント(48.0%)、別のハッシュタグによる比較用データでは2,167アカウント中526アカウント(24.3%)でした。対象アカウントには、収録された投稿が少なくとも2件ずつあります。[1][4]
残りは、単独トップが異なる、両指標に正の記録値がありながら同率トップがある、少なくとも一方の指標が全対象投稿で0という場合でした。レポートを作るクリエイターや企業は、どの指標を使うかを明記し、これらの違いを残してから、取り上げる投稿を選ぶとよいでしょう。数値が表すのは収録された過去の投稿であり、現在のInstagramの成果やスポンサーの有無による効果ではありません。
ブランドの担当者に向けて、クリエイターが短いレポートを作る場面を想像してください。紹介できる投稿は1件だけ。いいね最多の投稿を選ぼうとしたところ、別の投稿にはもっと多くのコメントが付いていることに気づきます。
その選択が今回の出発点です。いいねとコメントがそれぞれ1件の単独トップを選び、それが同じ投稿になるのかを調べました。同率や0の記録も除かずに見ています。結果を踏まえると、選んだ事例が何を代表しているのかを、企業とクリエイターがより具体的に話し合えます。
2つの指標が別々の投稿を指すこともある

- 記録されたいいねが最多
- 記録されたコメントが最多
1つのレポートに、2つのトップ投稿があってもよい
企業がクリエイターに「トップの投稿を送ってください」と頼むのは、一見簡単なことです。ところが、いいね最多の投稿とコメント最多の投稿は同じとは限りません。レポートに載せるスクリーンショットを選ぶ前に、何をもってトップとするのかを双方で決める必要があります。
架空のクリエイターが、2件のキャンペーン投稿を振り返る例で考えます。投稿Aにはいいねが12件、コメントが1件。投稿Bにはいいねが7件、コメントが4件あります。どちらの指標にも明確な単独トップがありますが、選ばれる投稿は異なります。どちらかを単に「最も成果のよかった投稿」と呼ぶと、何を基準に選んだのかが見えなくなります。
今回の問いは、どの投稿が最も優れているか、という問いより限定的です。あるアカウントの収録投稿の中で、いいねとコメントがそれぞれ単独トップを選ぶか。そして同じ投稿を選ぶか。この問い方なら、ほかの2つの場合も捉えられます。複数の投稿が同率になる場合と、一方の指標が全対象投稿で0の場合です。
これらは、報告上は別の状態です。同率だからといって、先に表示されたサムネイルを選んでよいわけではありません。すべて0の列では、その指標を使って投稿を区別できません。こうした状態を残すことで、レポートの意味が読み取りやすくなります。
2つのデータ群で見えたこと
Tyler Horanが公開したInstagramデータセットの2つのファイルを調べました。収集期間は2020年4月15日から5月15日です。一方は#sponsoredを起点に収集され、もう一方はそこで見つかった関連ハッシュタグを使っています。この選定されたリストは過去の資料であり、現在のInstagramアカウントを調査したものではありません。[1][2]
同じファイル内に異なる投稿が2件以上あるアカウントを対象としました。対象は#sponsored由来のデータで3,966アカウント、比較用データで2,167アカウントです。収録投稿が何件あっても、各ファイル内で1アカウントを1つとして数えています。1件しか収録されていないアカウントには投稿を選び分ける余地がないため、比較の対象外としました。
「両指標に正の値があり、同率トップがある」とは、いいねとコメントの双方に少なくとも1件の反応が記録され、どちらか、または両方の指標で、最多の投稿が複数ある状態です。一方の指標がすべて0の場合とは分けました。このルールにより、対象アカウントは下に示す4つの状態のいずれか1つに分類されます。
#sponsored由来のデータでは、いいねとコメントが同じ投稿を単独トップに選んだのは1,903アカウント、48.0%でした。異なる投稿をそれぞれ単独トップに選んだのは1,200アカウント、30.3%です。両指標に正の値がありながら同率トップがあるアカウントは408件、少なくとも一方の指標が全対象投稿で0のアカウントは455件でした。[4]
比較用データでは、同じ投稿が両方の単独トップになったのは526アカウント、24.3%。異なる投稿が単独トップになったのは306アカウント、14.1%でした。両指標に正の値がありながら同率トップがあるのは236アカウント、一方の指標がすべて0なのは1,099アカウントです。割合の分母には、この4つの状態をすべて残しています。
2つの表は、各ファイルを別々に記述しています。スポンサーが付くと指標の一致が増える、議論が活発になる、成果が高まる、と示したものではありません。ファイルの収集方法が異なるうえ、収録項目からは各投稿の公開後の経過時間や、反応が蓄積するまでの時間が分かりません。
報告に役立つのは、これらの状態を分けて見ることです。「両指標で同じ投稿が単独トップにならなかった」という結果には、異なる単独トップ、同率トップ、すべて0の指標が含まれます。そのすべてをまとめて「指標の判断が食い違った」と表現すべきではありません。
#sponsored由来のデータでは、どの投稿がトップになった?
#sponsoredを起点に選定されたデータ。2020年4〜5月収集。このファイル内に異なる投稿が2件以上あるアカウントを対象としています。
| アカウント内での結果 | アカウント数 | 対象アカウントに占める割合 |
|---|---|---|
| 両方で同じ1件が単独トップ | 1,903 | 48.0% |
| 単独トップが異なる | 1,200 | 30.3% |
| 両指標に正の値があり、同率トップがある | 408 | 10.3% |
| 少なくとも一方の指標が対象投稿すべてで0 | 455 | 11.5% |
比較用データでは、どの投稿がトップになった?
別のハッシュタグから選定された比較用データ。2020年4〜5月収集。このファイル内に異なる投稿が2件以上あるアカウントを対象としています。
| アカウント内での結果 | アカウント数 | 対象アカウントに占める割合 |
|---|---|---|
| 両方で同じ1件が単独トップ | 526 | 24.3% |
| 単独トップが異なる | 306 | 14.1% |
| 両指標に正の値があり、同率トップがある | 236 | 10.9% |
| 少なくとも一方の指標が対象投稿すべてで0 | 1,099 | 50.7% |
複数の投稿が同率トップになったら
並べ替えた表では、同率を見落としがちです。次の行がまったく同じ数値でも、一番上の行が勝者に見えます。今回の計算では、行の順序や投稿IDで1件を選ばず、最大値を持つ投稿をすべて残しました。
別の架空の2投稿で考えます。投稿Aはいいね12件、コメント4件。投稿Bはいいね12件、コメント1件です。コメントではAが単独トップですが、いいねではAとBが同率です。両指標のトップ投稿群に共通する投稿はあっても、いいね数だけ、あるいはこの収録データだけでは、同率の2件から1件を優先する理由は得られません。
こうした状態は、両指標に正の値がある同率トップの分類に含まれていました。#sponsored由来のデータでは、その408アカウント中320アカウント(78.4%)で、両指標のトップ投稿群に共通の投稿がありました。比較用データでは236アカウント中192アカウント(81.4%)です。これらの割合の分母は、両指標に正の値がある同率トップのアカウントだけです。対象全体に対する別の一致率ではありません。[4]
レポートに1件だけ載せる必要があるなら、たとえば説明したい商品の細部が写っている、といった編集上の理由を明示して選べます。それは数値による順位とは別の判断です。「紹介する例として選んだ投稿」と書いて理由を説明し、数値上の唯一のトップであるかのようには見せないことが大切です。
定期的なレポートでは、同率の扱いを一定にします。件数が少なければ、同率トップをすべて載せる方法は分かりやすいでしょう。別の表示ルールを使う場合も、同率である事実を残してください。レイアウトの都合で、いつの間にか単独トップになってしまうのを防げます。
0の記録は投稿の選び方にどう関わるか
対象投稿のコメントがすべて0なら、コメント数では単独トップを選べません。いいね数が異なっていても同じです。いいねが12件と7件で、コメントが両方0という架空の例なら、いいねは前者を選びますが、コメントは両者を選び分けません。
これは仮定だけの話ではなく、収録データにもある状態です。#sponsored由来のファイルでは、いいねの記録はあるものの、対象投稿すべてのコメントが0のアカウントが443件ありました。比較用ファイルでは1,015件です。両指標がすべて0の場合と、いいねだけがすべて0の場合も、ダウンロードできる結果に別々に残しています。[4]
報告するのは、記録が示す内容です。「今回の対象投稿では、記録されたコメントがすべて0だった」と書きます。「オーディエンスが関心を持たなかった」と置き換えてはいけません。このデータからは、0である理由、投稿を見た人数、別の場所で反応した人がいたかどうかは分かりません。
自社やチームのレポートでは、取得できないデータと、測定された0を区別してください。欠損値を、何も起きなかった証拠にはできません。これは報告方法についての提案であり、今回の元データに加えた修正ではありません。公開された件数項目は事前に決めた検証を通過し、0は0のまま扱いました。
クリエイターと企業のための報告例
キャンペーン投稿2件を持つ、先ほどの架空のクリエイターに戻ります。Aはいいね12件、コメント1件、Bはいいね7件、コメント4件です。次のキャンペーンについて話し合うために事例を選ぶ、という合意があったとします。どちらの件数も万能な答えとして扱わずに、両方のトップ投稿を示せます。
たとえば、こう報告できます。「指定した集計締め日時点では、この2件のうち投稿Aがいいね最多、投稿Bがコメント最多でした。両方を確認してから、再利用する内容を決めます」。観察した結果と、次の制作判断を分けた書き方です。
クリエイターはAを使って見せ方を話し合い、Bではコメントを文脈とともに読むことができます。コメント数だけでは、好意的な反応なのか、詳しい質問なのか、重複したメッセージなのか、それ以外なのかは企業に伝わりません。この研究は、感情の方向、重複を除いたコメント投稿者数、議論の価値を測っていません。
取引先が本当に知りたいのが売上なら、どちらのトップ投稿も答えにはなりません。合意した売上の問いに合う証拠と、測定や成果の帰属に関する制約が必要です。いいね数を「購入意向」と呼び替えたり、コメント1件を購入が確認された顧客と見なしたりしないでください。
比較には、いつ観測したかの明記も必要です。公開後の経過時間が異なる時点で集めた件数は、反応を蓄積する機会の違いを含む可能性があります。今回のデータでは、その機会をそろえられません。新しいレポートでは観測日時を記録し、問いに合う比較期間を決めましょう。
この進め方に、いいねとコメントをまとめた単一のエンゲージメントスコアは必須ではありません。使う場合は計算式を示し、何の判断に役立てるかを説明します。いいねとコメントを足す方法が答える選択の問いは、ここで調べた2つの別々の順位とは異なります。
レポートで区別したい4つの結果

両方で同じ1件が単独トップ
いいねとコメントがそれぞれ1件を選び、その投稿が一致する。
単独トップが異なる
いいねとコメントが別々の投稿を選び、どちらの最大値にも同率がない。
両指標に正の値があり、同率トップがある
両指標に少なくとも1件の反応が記録されているが、一方の指標で複数の投稿が最大値を共有する。
一方の指標が対象投稿すべてで0
たとえば、全対象投稿のコメントが0なら、コメントでは単独トップを選べない。
トップ投稿を伝える短いテンプレート
次の項目を、クリエイターの納品時の報告やキャンペーンレポートに使えます。報告を助ける提案であり、今回の過去データで効果を検証した書式ではありません。同じ単独トップ、異なる単独トップ、同率トップ、一方の指標がすべて0で単独トップを選べない場合のいずれにも使えます。
対象投稿:[アカウントと投稿一覧]。これらを一緒に比較する理由を説明します。取得できない投稿や項目を明記し、実際にレポートが扱う範囲を超えて比較しないようにします。
集計の締め日時:[日付、時刻、タイムゾーン]。各件数をいつ観測したかを記録します。投稿ごとの観測期間が異なる場合は、その違いを説明してから数値を解釈します。
いいね:[単独トップまたは同率トップの投稿、記録されたいいね数]。コメント:[単独トップまたは同率トップの投稿、記録されたコメント数]。2つを別々に記入します。必要な箇所には「同率」と書き、取得できない値を0と区別します。
選択結果:[同じ単独トップ、異なる単独トップ、両指標に正の値がある同率トップ、一方の指標がすべて0]。すべて0の指標がある場合は、それがどちらかを明記します。この欄で、両指標共通の単独トップを示せる理由、または示せない理由を伝えます。
解釈:[結果が裏付ける範囲に限定した説明]。たとえば「この集計時点では、2件のうち投稿Aのいいねが最多でした」。件数を、コンテンツの質、好意的な感情、売上についての主張に置き換えないようにします。
次の確認:[何を、誰が、いつ確認するか]。実際の投稿や証拠へのリンクを、チームの報告手順の中に残します。架空の例では、再利用する内容を決める前に、両方のトップ投稿を確認することが次の作業です。
企業とクリエイターが一緒に読めるくらい簡潔にまとめます。目的は選び方を分かりやすくすることであり、普通の観察を専門用語で飾ることではありません。どの指標がその投稿を選び、何の判断がまだ残っているかを、読み手が把握できれば十分です。
投稿を比較した方法
公開版には、#sponsored由来のファイルに29,425件、別ハッシュタグのファイルに28,779件の投稿があります。使用した項目は、公開されたアカウントID、投稿ID、いいね数、コメント数です。フォロワー項目は、対象選定、重み付け、結果の正規化のいずれにも使っていません。公開ファイルの再分析であり、元論文のエンゲージメント合算分析を再現したものではありません。[1][2]
データ構造とIDを検証した後、同じファイル内に異なる投稿が2件以上あるアカウントをすべて残しました。対象アカウントから得られた投稿は、それぞれ16,765件、7,373件です。1件しか収録されていない12,660アカウント、21,406アカウントは対象外とし、指標が一致しなかった事例としては数えていません。
対象アカウントの収録投稿数は、概して少数でした。中央値は両ファイルとも1アカウント当たり2件です。第1四分位数はどちらも2件、第3四分位数は#sponsored由来のデータで4件、比較用データで3件でした。これは各リストに収録された投稿であり、アカウントの全投稿履歴ではありません。ファイル全体では共通するアカウントIDが29件あるため、両者のアカウント数を足して、重複のない人数として扱うこともできません。
各対象アカウントについて、記録されたいいね数が最大の投稿と、コメント数が最大の投稿をすべて特定しました。まず、一方の指標がすべて0の場合を分類します。残りを、同じ単独トップ、異なる単独トップ、少なくとも一方に同率トップがある場合に分けました。同率の場合はさらに、両指標のトップ投稿群に共通の投稿があるかどうかで分けています。
主要な割合はすべて、その分類のアカウント数を、同じファイルの全対象アカウント数で割っています。0や同率の場合も分母に残しています。一方、同率の内訳の割合は、両指標に正の値がある同率トップのアカウント群を分母にすると明記しています。計算には正確な件数と分数を使い、割合を最後に小数第1位へ丸めました。丸めた分類別割合の合計は、必ずしも100.0%にはなりません。
対象基準、分類、出力項目は、結果を計算する前に固定しました。独立に書かれた2つの計算は、報告する集計値すべてで一致しています。分析対象は選定された有限の2つのデータ群なので、母集団の信頼区間や因果効果は示していません。アカウントIDから、重複のない個人、職業クリエイター、有償スポンサー契約であることが分かるわけでもありません。[4]
データセットはCC BY 4.0で公開されています。ダウンロードには集計結果と、元データから再計算するための方法を含めました。アカウントIDや投稿IDは含みません。元ファイルはZenodoで入手でき、出典の明記は、データ提供者がこの解釈を支持することを意味しません。[1][3]
登録は不要です。アカウント数と割合の集計結果、英語の技術的な分析方法を収録しています。アカウントIDや投稿IDは含みません。元のソースファイルはZenodoから別途入手してください。
出典と注記
- Horan, T. (2021). Sponsored and Unsponsored Posts on Instagram[データセット]. Zenodo、2021年7月8日公開。DOI: 10.5281/zenodo.5082114。公開資料に記載された収集期間は2020年4月15日〜5月15日です。Influence IQは、29,425行と28,779行を含む特定の公開ファイルを分析しました。
- Horan, T. (2021). Commercial Limits to Personality: Instagram Influencers and Commoditized Content Receptivity. Societies, 11(3), 77。方法の説明では、#sponsoredからの収集と、関連ハッシュタグを順にたどる比較用データの収集が示されています。論文の標本総数は公開ファイルの件数と異なります。分析した公開版には58,204件の投稿記録があります。公開版を変更せず、別の記述的分析として報告しています。
- 元データセットのライセンスはCreative Commons Attribution 4.0です。Influence IQが新たに集計しました。出典の明記は、Tyler Horan、Zenodo、Instagramによる支持や承認を意味しません。公開ダウンロードには元データの行やアカウント・投稿IDを含めていません。
- Influence IQ (2026). Instagramトップ投稿の指標:方法、集計結果、再現コード。結果を計算する前に、各ファイルで対象アカウントが少なくとも100件あることを条件としました。これは事前に決めたデータの広がりの確認であり、統計的検出力の主張ではありません。パッケージには対象基準、最大値を持つ投稿群、0と同率のルール、正確な分数、対象範囲の情報、独立計算の照合結果を含みます。元ファイルはZenodoから別途入手します。技術資料は英語です。
記事、報告テンプレート、図のラベル、結果CSVは10言語に対応しています。技術的な再現パッケージは英語です。どの言語版も、同じ2つの過去のデータ群と同じ計算を説明しています。