ポッドキャストの収益化:紹介商品を買う人は、有料購読や番組グッズにもお金を払う?
2022年12月の米国調査では、ポッドキャストで紹介・宣伝されたものを買ったと答えた人の多くに、有料購読や番組グッズの購入経験がありませんでした。新たに有料の商品やサービスを出すクリエイターには、過去の購入歴だけでは答えられない問いが残ります。
Pew Research CenterのAmerican Trends Panel、第118回調査を独自に分析。米国での調査期間は2022年12月5〜11日。
要旨
ポッドキャストで紹介されたものを買うことと、有料購読や番組グッズにお金を払うことは、必ずしも重なりません。Pew Research Centerが2022年12月に米国で行った調査で、番組をきっかけに購入したと答えた763人のうち、58.2%は有料購読も番組グッズ購入も経験していませんでした。41.4%は少なくとも一方を経験し、0.4%は回答だけでは判別できませんでした。いずれも同じ購入者集団を分母とする、重み付けした割合です。[1]
これは本人が回答した過去の購入経験です。現在も購読中かどうか、複数の購入が同じ番組に関するものかどうかは分かりません。だからこそ、クリエイターは新たに販売するものごとに、その需要を示す根拠を確かめる必要があります。有料購読、番組グッズ、おすすめ商品では、購入を決める理由も異なり得ます。一つが売れたからといって、別の商品の売上予測には使えません。
番組で話題にした本を買ったというメッセージが、リスナーから届いたとします。配信者はちょうど、有料の特別シリーズと小規模なグッズ販売を検討中です。その本の購入を、新しい商品のどちらかも買ってもらえる証拠と受け止めたくなるかもしれません。
架空の場面ですが、企画で直面する問いは現実的です。あるものを買った経験から、別のものを買うかどうかがどこまで分かるのでしょうか。本は目の前の課題を解決するためかもしれません。有料購読では、継続して利用できることに価値を感じてもらう必要があります。グッズなら、デザイン、使いやすさ、番組とのつながりが魅力かもしれません。これらは今後確かめるべき可能性であり、今回の調査で測定した購入動機ではありません。
私たちは同じ回答者による三つの回答を組み合わせ、購入経験の重なりを調べました。最も大きかったのは、ポッドキャストで紹介・宣伝されたものを買ったことはあっても、有料購読や番組グッズは一度も買ったことがない層です。商品企画の出発点として使える結果です。過去に何かを買ったという事実で済ませず、今回の商品を買う理由を具体的に書いてみましょう。
購入の種類が違えば、判断も変わる

- 番組で紹介された商品
- ポッドキャストの有料購読
- 番組グッズ
番組をきっかけに購入した人の多くに、有料購読も番組グッズ購入も経験がなかった
58.2%に有料購読も番組グッズ購入も経験がなかった
2022年12月の米国調査で、ポッドキャストをきっかけに購入した763人の重み付け後の割合。各行の分母は同じ購入者集団です。
| 回答された購入経験 | 購入者に占める割合(重み付け後) | 回答者数(重み付け前) |
|---|---|---|
| 有料購読も番組グッズ購入もなし | 58.2% | 456 |
| 有料購読、番組グッズ購入、または両方 | 41.4% | 303 |
| 回答だけでは判別できない | 0.4% | 4 |
この記事では、この集団を「ポッドキャストをきっかけに購入した人」と呼びます。質問は宣伝だけでなく、番組で話題になった場合も含むため、広告だけを通じた購入者とは限りません。何を誰から買ったかも分からず、購入したもの自体が番組グッズだった可能性もあります。また、購入のきっかけとなった番組名や、有料購読・グッズ購入がその番組に関するものかどうかも確認できません。[2]
この結果は、クリエイターが陥りやすい一つの早合点に注意を促します。ポッドキャスト経由で買い物をしたというだけで、有料会員サービスやグッズの需要があるとは言えません。ただし、58.2%の人が今後の提案を断るという意味でもありません。この二種類の購入を過去に経験していないと答えただけで、新しい商品、価格、伝え方は試していないからです。
有料購読と番組グッズでも、購入経験は異なる
同じ購入者集団をさらに分けると、違いが見えてきます。重み付けした割合では、有料購読の経験だけがある人は12.9%、番組グッズの購入経験だけがある人は17.4%、両方の経験がある人は11.1%でした。どちらの経験もない人が58.2%で、引き続き最大の区分です。回答だけでは判別できない人は0.4%でした。
ここでいう「だけ」は、限定的な意味です。「有料購読のみ」は、購読経験に「ある」、グッズ購入経験に「ない」と答えたことを指します。他のクリエイターを支援したことがない、別の形でお金を使ったことがない、という意味ではありません。寄付、ライブイベントなど、ほかに考えられる収益源は今回の比較に含めていません。
同じ購入者集団に見られた五つの購入経験
ポッドキャストをきっかけに購入した763人について、有料購読と番組グッズの購入経験を比較。2022年12月の米国調査。
| 回答された購入経験 | 購入者に占める割合(重み付け後) | 回答者数(重み付け前) |
|---|---|---|
| 有料購読のみ | 12.9% | 81 |
| 番組グッズ購入のみ | 17.4% | 133 |
| 有料購読と番組グッズ購入の両方 | 11.1% | 89 |
| どちらもなし | 58.2% | 456 |
| 回答不完全 | 0.4% | 4 |
公開データでは、グッズ購入のみの割合が、有料購読のみの割合を上回っています。ただし、どちらの事業を始めるべきかは分かりません。回答者がどんな商品を見たか、いくら払ったか、何回買ったか、作り手が提供にいくらかけたかは不明です。購入経験のある人数を比べることと、売上や利益を比べることは別です。
Pewの元の報告書は、リスナーに占める各行動の割合をすでに公表しています。今回加えたのは、購入者集団の中で同じ人の回答を組み合わせた分析です。行動別の合計だけでは、同じ人が複数の経験を持つ割合は分かりません。回答を組み合わせることで重なりは見えますが、その理由までは分かりません。[3]
販売するものごとに、買う理由を明確にする
実務に生かすなら、商品ごとの根拠を分けて扱いましょう。おすすめした商品を買ったというリスナーの話は、商品紹介の企画に使える情報です。そこから会員サービスやグッズについて話を聞くことはできますが、どちらかを確実に買う人として数えてはいけません。
有料購読なら、最初の支払いの後に何を届け続けるのかを書き出します。内容が定まった特別シリーズなのか、役立つ過去コンテンツへのアクセスなのか、別の具体的な特典なのか。そのうえで、作り手が継続して提供できることと、リスナーが申し込む前に知りたいことを考えます。これらは商品の価値と提供体制についての問いであり、今回の調査では答えられません。
グッズなら、商品を具体的にします。何が届き、どんな説明が必要で、製造や配送に何が伴うのか。デザインを気に入ったという意見は参考になりますが、注文が完了したこととは違います。こうした段階を分けることで、小さなチームでも好意的な反応を確定売上として扱わずに済みます。
商品ごとに根拠のメモを分ける

おすすめ商品の紹介
購入の報告は、該当する商品や状況と結び付けて記録します。
有料購読
継続するメリットと、作り手が提供できることを説明します。
番組グッズ
進めると決める前に、商品、価格、配送条件を具体化します。
ポッドキャストのクリエイターと組む企業にも、同じ考え方が役立ちます。リスナーに関する根拠は、提案する活動と対応している必要があります。紹介商品を買った経験だけでは、番組自体にお金を払う層とは言えません。有料購読の経験だけで、新たに広告する商品が売れるとも言えません。関連する根拠を企画書に示しつつ、キャンペーン成果の約束に置き換えないことが大切です。
まずリスナーインタビューの対象者を選びたい場合は、関連するインフルエンサーマーケティング測定の研究が参考になります。質問の違いによって、どのように異なる集団が選ばれるかを分析しています。[7]
小さな番組チームで使う、商品別の検討メモ
園芸をテーマにした架空のポッドキャストを考えてみましょう。番組で紹介した道具を買った、とリスナーから時々連絡があります。チームは季節ごとの有料音声シリーズと、番組ブランドのエプロンを検討しています。以下は企画のための例であり、実在企業を観察した記録でも、調査結果でもありません。
各商品について、同じ五つの項目を用意します。販売するもの、すでにある根拠、まだ分からないこと、最小限でも役立つ次の一歩、さらに進む判断に必要な確認です。目的は次の意思決定を具体化することです。調査の割合を番組のリスナー数に掛ける必要はありません。
おすすめ商品の紹介。ある根拠:番組で話題にした道具を買ったというリスナーのメッセージ。まだ分からないこと:広い需要を表しているのか、印象に残る少数の体験なのか。
次の一歩:それぞれの事例を、該当する道具や配信回と結び付けて記録します。
さらに進む前に:提案された提携について、リスナーとの相性や合意した事業指標に照らして検討します。メッセージだけでは、将来の提携先に生じる売上やその帰属は確認できません。
季節ごとの有料音声シリーズ。ある根拠:この新企画について、購入の根拠はまだありません。まだ分からないこと:どの部分にお金を払う価値を感じてもらえるのか、チームが提供できるのか。
次の一歩:内容の概要を分かりやすく示し、どこを利用したいかリスナーに聞きます。
さらに進む前に:約束する内容と制作・提供の負担を確かめてから、小規模で内容の明確な有料企画を検討します。会話の中で示された関心は、あくまで関心として記録します。
番組ブランドのエプロン。ある根拠:デザイン案はありますが、注文はありません。まだ分からないこと:事業として成り立つ価格で、この商品をリスナーが欲しがるのか。
次の一歩:デザインと実務上の条件を確認します。必要に応じたサイズ展開、製造、配送も含めます。
さらに進む前に:過去の調査でグッズ購入経験があった人の割合ではなく、この商品固有の根拠と事業側の対応力から在庫を判断します。
次の企画会議では、これらのメモを並べて読めます。商品紹介には本人が報告した購入行動がありますが、新たな二つの企画にはまだ問いが残っています。この違いを押さえれば、調査が売れる商品を選んでくれたかのように扱わずに、次に行う作業を決めやすくなります。
メモは実際に使える短さに保ちましょう。状況が変われば根拠を更新し、これから行うことと、すでに完了した購入を分けます。目的は次にどこまで進むかを判断しやすくすることであり、調査から売上を予測することではありません。
未回答を考慮しても、中心となる結果は変わらない
763人のうち4人は、測定した二つの方法の少なくとも一方で番組にお金を払ったのか、どちらも経験していないのかを判別できませんでした。重み付け後では、購入者集団の0.4%に当たります。この4人を黙って除かず、分母に残しました。
判別できない人が全員「少なくとも一方の経験あり」だった場合、その重み付け後の割合は41.4%から41.8%になります。全員「どちらも経験なし」だった場合は、そちらの割合が58.2%から58.6%になります。この範囲が表すのは、該当する未回答が及ぼし得る影響だけです。調査の不確実性全体を測るものではありません。
未回答の影響を受けるのは、重み付けした購入者集団の0.4%
同じ763人の購入者について、有料購読・グッズ購入の経験に関して論理的に取り得る範囲。各行の上限は、判別できない人を全員その行に含めた場合です。
| 回答された購入経験 | 確認できた割合 | 判別できない人を全員含めた場合の割合 |
|---|---|---|
| 有料購読、番組グッズ購入、または両方 | 41.4% | 41.8% |
| 有料購読も番組グッズ購入もなし | 58.2% | 58.6% |
「どちらも経験なし」の下限でも半数を上回ります。そのため、未回答をどちらに分類するか決めなくても、重み付けした購入者集団の過半数にどちらの経験もなかったと説明できます。ただし、未回答による幅が小さいことを、あらゆる番組のリスナーについて精確な結果が得られた証拠にはできません。
これらは信頼区間ではありません。2022年12月の米国調査について、公開された回答を重み付けして記述した結果です。現在の支払い意思は分からず、翻訳したからといって、その言語圏の市場の推定値になるわけでもありません。
購入経験をどのように比較したか
Pew Research CenterのAmerican Trends Panel、第118回調査を分析しました。調査期間は2022年12月5〜11日で、公開データには米国の成人5,132人が含まれます。このうち2,530人が過去12か月にポッドキャストを聴いたと回答し、行動に関する質問の対象となりました。今回の分析は、その中で番組で宣伝されたり話題になったりしたことを理由に、何かを買ったと答えた763人を対象にしています。[1][2]
有料購読と番組グッズの質問は、それぞれ「これまでに経験したことがあるか」を尋ねています。商品購入の質問には、行動について別の期間指定がありません。「過去12か月」は質問を受ける対象者を決める条件であり、すべての購入経験に当てはめるべきではありません。現在の購読状況や、購入が起きた順序も分かりません。[2]
割合の計算には、公開データの最終調査ウェイトを使いました。763人の購入者集団の中で、各区分のウェイトを合計し、集団全体のウェイト合計で割って100を掛けています。重み付け前の回答者数は回答の件数を示すものであり、表示する重み付け後の割合の分子ではありません。
有料購読か番組グッズのどちらかに「経験あり」と答えていれば、もう一方が未回答でも、少なくとも一方の経験があると判断できます。「どちらも経験なし」には、両方に明確な「ない」の回答が必要です。それ以外は判別できないまま残します。五区分の表では、有料購読のみ、グッズのみ、両方、どちらもなし、回答不完全を分けています。未回答を「ない」とは扱いません。
新たな重なりを計算する前に、質問対象者数を確認し、公表済みの回答割合を、その丸め幅の範囲内で再現しました。計算には表示用に丸める前の保存済みウェイトを使用しています。記事とダウンロード資料では割合を小数第1位まで表示するため、丸めた内訳を足すと小さな差が生じる場合があります。回答者や区分が追加されたという意味ではありません。[4]
Pewの方法説明には、確率抽出と、抽出確率や未回答に対する調整が記されています。ただし、今回利用できた資料からは、この新たな条件付き割合について、調査設計を反映した分散の計算を再現する方法を確認できませんでした。そのため、重み付けした記述的な割合と未回答による範囲を示し、信頼区間、有意差検定、収益モデル間の優劣は示していません。[5]
公開データの説明には、回答者の保護のため、まれな値の一部を入れ替える場合があることも記されています。この分析は、その公開後の記録を対象にしています。本人による過去の報告、未回答、プライバシー保護はいずれも解釈に関わります。重み付けした割合を売上予測として扱っても、これらの問題は解消しません。[6]
CSVには、記事に示した三つの主要割合、五つの購入経験の割合、それぞれの重み付け前の回答者数、未回答による二つの範囲を収録しています。すべて同じ購入者集団を分母とし、割合は重み付けした値です。ZIPには独自の分析コードと再現ガイドを収録し、利用契約の対象となる回答者データは含めていません。どちらにも回答者の個票、識別子、個人別ウェイトは含みません。再現する場合は、Pewのデータ利用契約に従い、元データを別途取得してください。
データ出典:Pew Research CenterのAmerican Trends Panel。本記事に示す見解は、政策への示唆を含め、著者のものであり、Pew Research Centerの見解ではありません。 The opinions expressed herein, including any implications for policy, are those of the author and not of Pew Research Center.
出典と注記
- Pew Research Center、American Trends Panel、第118回調査。米国での実査は2022年12月5〜11日。公開データの回答者は5,132人、質問対象となるポッドキャストリスナーは2,530人、今回の分析で番組をきっかけに購入した人は763人です。Influence IQは最終公開ウェイトWEIGHT_W118を使い、新たに重なりを計算しました。
- 公式質問票・集計結果の1、4ページ。PODYEARは過去1年間の聴取を定義します。PODENG1のb、cは有料購読料を払った経験と番組グッズ購入経験を尋ねます。PODENG2のcは、番組で宣伝されたり話題になったりしたことを理由とする購入を尋ねますが、行動の期間を別途指定していません。同じ番組からの購入かどうかは確認できません。
- Pewの2023年4月18日付報告書は、商品購入、有料購読、番組グッズ購入について、リスナーに占める割合を個別に公表しています。今回扱うのは、商品を買ったと答えた人の中での経験の重なりです。行動ごとの合計自体は新しい発見ではありません。
- データ確認には、公表済みの整数の割合を使いました。過去1年間の聴取は「あり」49%、「なし」51%。質問対象のリスナーでは、有料購読が「あり」13%、「なし」86%、グッズ購入が「あり」12%、「なし」88%、商品購入が「あり」28%、「なし」72%です。公表された未回答の割合はいずれも1%未満です。整数への丸め幅の範囲内で一致を確認し、新たな結果は丸めていないウェイトから計算しました。
- Pewの第118回調査の方法説明は、標本抽出と重み付けについて記しています。より広い集団向けに公表された標本誤差は、今回の購入者集団の比較に必要な分散を与えるものではありません。それを条件付き割合に流用したり、単純無作為抽出を仮定した区間で置き換えたりしていません。表示する未回答による範囲は、有料購読・グッズ購入の未回答項目だけを対象としています。
- 第118回調査の公開説明には、まれな値を入れ替える場合があるプライバシー保護措置が記されています。ATPのデータ利用契約は、出典を明記した限定的な研究結果の公表を認める一方、回答者データへのアクセスと再配布を制限しています。ここで提供するのは限定的な集計結果のみで、回答者の個票、識別子、個人別ウェイトは含みません。
- 関連するInfluence IQの研究「インフルエンサーマーケティングの測定:その質問で誰を選んでいるか」。質問の違いによるインタビュー対象者の選び方を扱っており、番組が販売するものの間での購入経験を比べる研究とは異なります。
どの言語版も、2022年12月に行われた同じ米国調査を説明しています。翻訳しても質問、購入経験、対象集団は変わらず、各地域の現在の市場推定値になるわけではありません。